学生さんへ


講義の方針

医学の基礎的知識のみならず,医学的進歩に対応できる科学的思考能力の育成を図ります。これを基礎にして,内科学の基本である患者の全人的問題点を把握し医学的側面から解決する方法論と医療倫理,医師・患者関係の確立法を以下の段階を踏むことにより修得することを目標とします。具体的日程は毎年更新される福島県立医科大学教育要項や下記を参照して下さい。

①内科診断学・内科学系統講義
内科学の基本である医療倫理,医師・患者関係の確立法,診断技術,問題の把握・解決法(POS方式)の把握を目的にする内科診断学及び内科診療に必要な科学的基礎知識の獲得を目標とする系統講義からなります。系統講義は当科担当である糖尿病・内分泌・代謝を分野としますが,総花的知識ではなく基礎・社会医学ベースから臨床的事象の病態把握に重点を置いた講義を目標とします。すなわち,基礎・社会医学と臨床の橋渡しに重点をおくこととします。

②内科臨床講義
具体的な症例を提示し,上述の内科診断学・内科学系統講義を基礎として問題点の把握と解決法を修練します。症例は,基本的に糖尿病・内分泌・代謝分野の問題を持つ患者を選択しますが,実際にはこれら分野に限らず,患者の問題点の全人的解決をシュミレートするケーススタディと考えています。この過程は,実像の患者の問題点解決の修練である次の臨床実習(BSL)の基礎となります。また問題点に関して,医学的に未解決な課題や最近の進歩のトピックなどについても触れて下さい。

(2018年12月13日 更新)

臨床実習(BSL)

第1クール(医学部4年生、5年生)
BSL第1クールでは、当科の入院患者を受け持ち、担当医の指導のもと医師・患者関係の組み立て方を学びつつ内科診断学の実践を通して臨床的な問題(プロブレムリスト)の把握の仕方とその解決法(臨床推論)を学ぶことを目標とします。はじめは診療録、検査結果を参考とせず患者と医師・患者関係を組み立てながら、医療面接と身体診察で出来る臨床的な問題点の把握を目指します。担当医の指導のもと、臨床推論をたて検査・治療計画を立てる修練を行います。次にグループ内メンバーおよび指導医と議論し、適切なプロブレムリストの作成をおこないます。プロブレムリスト毎に診断、治療の立案を行いながら、解決が困難な問題点に関しては、文献情報の検索・評価を行います。教授試問では、学生のグループ内議論を主に問題解決型医療に則った実践を目指します。実習期間中の、病棟・外来等での検査・治療には自ら積極的に参加していただきます。カンファレンス等での症例提示においては、主体的に臨床推論をたてる機会とし、回診、病棟講義、教授試問を通して糖尿病内分泌代謝疾患への理解を深めます。また腎臓高血圧内科との連携や、NSTチームへの参加などを通して、幅広い内科診療への理解と知識習得を目指します。

第2クール(医学部5年生、6年生)
第2クールの実習では、第1クールの基礎知識をさらに発展させ、実践的な医療スキルの習得を目指しています。入院新患を初診から受け持つことで診療の実践的対応能力を高め、一般医療現場での知識や技術を修得します。また、最新の医学知識の学習や文献検索法の習得、科学的批判力の養成にも取り組みます。
本実習では、クリニカルクラークシップの概念を日本の実状に適合させた形式を採用しています。助手の指導監督のもと、研修医と新入院患者を受け持ち、チーム医療の一員として行動します。問診・身体診察・病歴記録、初期検査治療計画の立案、検査・治療への参加など、実践的な経験を積むことができます。さらに、専門カンファレンスへの参加や総回診でのプレゼンテーション、関連病院での見学・実習など、将来の医療従事者として必要な幅広いスキルを総合的に習得できる充実したプログラムとなっています。

(2024年11月10日 更新)

病歴要約(入院時サマリー)作成について

当科では,入院患者さん全員に対して病歴要約(入院時サマリー)の作成を主治医が行っています。問診,身体所見,検査結果から浮かび上がる問題点を列挙し,それぞれに対して評価とプランを立てます。そして,腎臓高血圧内科との合同カンファレンスで毎朝症例を発表し,教授や医局員らと活発に議論し,患者さんの診療の助けとする他,知見を深める機会でもあります。
BSLの学生さんにも,実習中に患者さんを各々担当していただき,主治医と同じ立場で入院時サマリーの作成をしていただいています。またそれらを教授試問という形で発表することで,プレゼンテーション技能も高めることができます。2週目には試問で与えられた課題について文献的に考察することで,文献(特に英語)を読む力,論理的思考を身につけることができます。
詳細については,実習初日のオリエンテーションにて説明があります。下記から入院時サマリーのテンプレートや作成の手引き,病歴要約の例,教授試問での発表スライド作成の手引きと見本をダウンロードできます。ぜひ利用してください。

1. 入院サマリーテンプレート
2. 入院サマリー作成の手引き
3. 入院サマリーの見本
4. 症例発表スライド作成の手引き
5. 症例発表スライドの見本(実習1週目)
6. 症例発表スライドの見本(実習2週目)

なお,当科の入院サマリーの書き方については,日本内科学会の病歴要約の手引きに準拠しています。学会ホームページも参考にして下さい。

(2020年10月5日 更新)

学習上の留意事項

  1. 講義では総ての項目をカバーすることは時間的に不可能ですので,不足分は自学・自習を原則とします。
  2. 実習は単に知識を得ることが目的ではなく,主体的な行動と思考により基本的知識・技術と論理的思考法を修得することを原則とします。
  3. 小グループ議論を重視することは,主体性の発揮とともに他の学生の症例への取組みも同時に経験出来る好期と考えて下さい。
  4. 他人の前での簡潔・明瞭な症例提示(プレゼンテーション)は貴重な機会です。
  5. 実習・講義中に医学的な疑問を持った際には必ず原著を検索して下さい。将来の医学的進歩の受け入れが可能な科学的素地の形成につながります。
(2018年12月13日 更新)